理不尽なニュース。
c0198524_74568.jpg
夜のニュースをTと一緒に見ていると、日本人はイルカを何千と殺し食しているというニュースが流れる。




イルカの血で真っ赤に染まる海。イルカと戯れる西洋人。水族館で調教されたイルカの演技に歓声を上げる日本人(コレは勿論ドイツにもある)。
そんな画像が流れ、アナウンサーは「フリッパーで一躍有名になった可愛いイルカを日本人は何千と殺し、学校給食や病院での食材として使用しています。それを記録したドキュメント映画が(←ここ重要!あくまで商用宣伝)近々公開されることになりました。」とさも嫌そうに、悲しそうにテレビの画面に向かって訴えかけ、最後の決め台詞「こんなニュースで今晩のニュースは終わりになりますが、皆さん良い夜を」と言ってのけた。


僕も一日本人として、日本にはイルカを食す地方があるという事実を知っているし、実際にその地方を訪れた際、スーパーにイルカの肉が普通に並んでいることに驚いた経験がある。しかしそれはその地方の伝統であり、イルカの他に食す動物性の肉がなかったという歴史的経緯を経た、いわゆる郷土料理または風習として僕はとらえていた。

それをドイツの放送局がどこからこんな話題を仕入れてくるのかしれないが、さも日本人が毎日普通にイルカを食している野蛮人とでも言いたげな口調のニュースを、確かな裏付けも無く平気でニュースとして流すのに疑問を覚えた(その村の名前さえちゃんと発音していなかった)。

c0198524_1019396.jpg
ドイツに住んでいるとよく「日本人は鯨を殺して食べるんだよね。そのことについて君はどう思っているのか?」と聞かれることがある。
すると僕は「僕は子供の頃に鯨を食べたことがある。伝統としての鯨食は残すべきだと思うけれど、絶滅危惧種は保護するべきだと思っている。ところで君は日本人が食用のために世界の鯨を乱獲して今の状態になったのではないことを知っているのか?」と答えることにしている。
ここで忘れてはならないのが、そもそもここまで鯨が減ったのは、いわゆる西洋社会が鯨の「あぶら」が欲しいがためだけに北極や南極の鯨をそれこそ絶滅させる勢いで乱獲した事実があり、それがそもそもの原因じゃないのかと僕は迫る。
そうすると僕に質問してきた人間は必ず「そんなことは問題じゃない。現状で日本人が鯨を殺していることに対して君はどう思うのだ」と僕の問いに答えることもなく、理不尽にあくまで自分の主張を繰り返すのが大抵の反捕鯨派ドイツ人の定番である。

そもそも普通に考えて、日本人が世界の鯨を絶滅させるほどの鯨の肉を消費できるわけでもないししてきたわけでもないし、実際に現状で鯨肉が普通に出回っているわけでもないという事実を某緑豆(一応伏せ字)のアクティビスト達やシーシェパードの環境保護過激派は知っているのだろうか?(いったいどれだけの日本人が「普通」に鯨肉を常食しているというのだろうか?)

また「何故鯨やイルカを殺して食べるのがいけないのか?」と反対に僕が質問すると、必ず「鯨やイルカは頭が良いから」とか「フレンドリーで可愛いから」という答えが返ってくる(もちろん理論的に「絶滅危惧種だから」というまっとうな答えが返ってくるときもある。これはこれで僕は理にかなっているので問題ないと思っている)。
その度に僕は思う。牛は可愛くないのですか?豚は馬鹿だから食べて良いのですか?羊はフレンドリーじゃないのですか?今でも多くの国で賢い犬を食べているのは問題ないのですか?と聞きたくなる。


今日のニュースも、イルカが絶滅の危機があってそれでも日本のとある「小さな村」が乱獲しているというのなら僕も納得できよう。しかしあくまでも「日本人」が「フリッパーのように可愛い」「賢い」イルカを「無残に殺して」「食べている」というまるで鬼の首でもたったかのようなあまりにも主観的なニュースに僕は久しぶりに気分が悪くなった。

そして今ひとつ疑問に思ったのは、どうしてこの団体はイルカ漁に抗議をして、ドキュメント映画まで作ろうとしたのか?どうして異文化を受け入れる(若しくは異文化を知ろうとする)寛容さが無く、一面的な西洋的価値観からでしか行動できないのか?ということ。
この一方的な西洋的価値観の押し売りと、異文化を理解若しくは受け入れようとする寛容さが無い西洋的放漫さこそが、未だにテロや戦争さえも導く原因だということにどうしていい大人が気づかないのだろうと僕は常々考えてしまう。
c0198524_8524690.jpg
そして一連の鯨のニュースや今日のイルカのようなニュースが流れる度に僕は思う。

どうしていわゆる過激な行動を取る自称環境保護団体は、イルカや鯨には目くじら(しゃれではない)を立てるくせに、日本の哀れな捨て犬や捨て猫の殺処分の事実(それこそとんでもない数の哀れなペット達が命を落としている)や、日本では普通の、子犬の生体販売という悲しい現実には抗議すらしないのだろうかと常々不思議に思う。

どうせならこういう憂うべき事実にこそ光を当てて、日本という国がこの問題を本当に考えなければいけない状況に追い込んでくれればいいのにと思う。

しかし現実には・・・




鯨やイルカは金になるから抗議するのか?



犬や猫は金にならないから抗議も行動も起こさないのか?





本来なら鯨もイルカも犬も猫も人さえもどれも同じ重さであるべき命なのに・・・


と今晩のあまりに理不尽で主観的なイルカのニュースを見ながら、胸に変なモヤモヤを抱えつつまたしてもこんな事を考えてしまったのだった。
by presto-presto | 2009-10-22 09:01
<< 日曜日のラッシュアワー。 進化する寝床。 >>



-僕とパートナー・Tと共にドイツで暮らすウィペット・プレストとの日常の記録。                 Presto:2008年9月18日生まれの♂のWhippet。           
by presto-presto
S M T W T F S
1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30